本ブログの恒例になっている、サンバイオ年末のまとめを今年もやろうと思う。
今年のサンバイオを一文字で表すのなら「待」(待ち)だろうか。とにかく申請を待った1年だったと思う。昨年12月は、電話対応の廃止とTBI承認申請2度目の遅延を表明して終えるという悪い終え方だった。それに比べれば、今年は、申請にまで至らなかったにせよいい年だっただろうか。振り返ってみようと思う。(大納会今日の終値1007円。)
1月
Neurology誌でTBI p2の中間解析結果を発表し、モルガンカンファレンスでの企業プレゼン予定をお知らせ。それなりの医学界雑誌への掲載と、それなりの米国金融機関でのプレゼンは、悪い流れにある中にあって、悪くはない情報だったが、流れを断ち切るほどの良い情報でもなかった。
そんな中、SB623と同じく「先駆け審査指定制度」&「希少疾病用再生医療等製品指定」を受けている、第一三共のDS-1647(G47Δ)が申請をした(その後6月11日承認)ことは自分内で大きなニュースだった。この2つの指定を受けている再生医療等製品はSB623とDS-1647とゾルゲンスマの3品だけ。遅延を重ねたDS-1647(G47Δ)が申請できたということは、SB623も必ずできると確信が深まった。このDS-1647申請は、新年早々のビッグ良ニュースだった。
2月
モルガンカンファレンスでの企業プレゼ動画を公開。森社長、あんまり英語が上手くないことが地味に驚いた(すみません)。ドイツ語の方がご堪能なのだろうか。だとしたら、3ヶ国語か・・・それもすごいな・・・そして、薬事部長の澤口和美さんによる第5回DIA再生医療製品・遺伝子治療用製品シンポジウムプレゼンテーション資料も公表された。澤口さんは、この後の3月の機関投資家向け決算説明会で辻村副社長が名前を出された方。期待されての入社であるようだし、影ながら応援しています。一層のご活躍を期待したい。
3月
TBIp2の結果を日本脳神経外傷学会で発表。このことの資料公開等は特になかったが、学会での発表は良いこと。どんどん攻めてほしい。
機関投資家向け決算説明会では、副次評価項目について初めて言及し、「障がいの度合」「手の動き」「歩行速度」「患者と医者の印象としてどれぐらい良くなったか。」について、いずれもベースラインからの改善が見られたと明言。 また、発売に向けた準備状況は、山本事業部長から「最終段階に入る少し手前にいる」発言があり、従来までの「○割」という言い方から明らかに前進。 また、薬価についても提出資料の準備を鋭利進めている状況ということと、辻村副社長の「再生細胞薬のグローバルリーダー目指して人材への投資を継続」等の発言から、前進具合と本気度が伝わってきた説明会だった。
4月
株主総会。自分は飛行機チケットも取っていたが、コロナで断念した。しかし、オンラインライブ配信が行われ、とてもありがたかった。今後も続けてほしい。
株主総会招集通知からわかった11名の人員増加(毎年毎年順調に増加中)は良情報だったし、一度は退いた大株主にSBI証券が返り咲いたことも良情報であったと思う。(株主総会の様子は、ここにまとめてあります。 → http://bouchan.info/search?q=サンバイオ第8回定時株主総会)
5月
特記事項なし
6月
特記事項なし
7月
山本事業部長退社。これには相当驚いた。「退職後もシニアアドバイザーとして当社を支援します。」ということで、この文言がなければ、心が折れていたかも・・・退職理由を知りたい衝動に駆られたが、どうすることもできず。
8月
その山本さんがweb講演をされるということで、仕事をダッシュで片付けて帰宅し、拝聴した。(その時の記事 → http://bouchan.info/archives/30040354.html)個人で起こされている会社の事業に専念したいことが主な退社理由であり、SB623は「発売できる見込みですので」の一言に安心した。サンバイオシニアアドバイザーとしての今後のご活躍にも期待大!
こう見ると、5月~8月は大きな動きが無し。これもすごいな・・・それぐらい、水面下での申請準備に勤しんでいたことだろう。
9月
機関投資家向け決算説明会の音声が公開。相変わらず「当局関連で詳細は言えない」が貫かれた会だった。ただ、その中でも
・「国内承認は始まりですので、その後のグローバル展開についてもしっかりお知らせしていきたい。」
・2年前も遅延したことに触れながら、その間製造安定供給の課題を中心に「対策を終了してきております。」
・「この半年間新たな問題が発生したということはありません。」
・「特にこの3ヶ月は医師・医療従事者・スズケン・製造メーカーとこれまで以上に密に連携を図っています。」
・「承認要件にフレキシブルに変更できる組織体制を構築しています。」
・「R-SATシステムについては、液体窒素での物流のための容器やケースもすでに購入しています。」
このような発言があり、安心材料が散りばめられた会だったと思う。「当局との相談」を何度か口にされそのニュアンスからも「先駆け総合評価相談」にこの時期には入っていると個人的には思っているが、真実は分からない。(ちなみに、「もし」入っていて、4ヶ月ルールで申請受理なら、1月中旬ごろまでには申請となるが果たして・・・)
10月
束原直樹さんが新任執行役員・事業部長に就任。7月退社の山本さんの後任と見られ、きちんと穴が埋まりよかった。株価低迷の中でも、新規入社の方が増えてくるのは喜ばしいこと。会社にそれだけの可能性があり、人生を賭けたいと思わせる材料がある所以であると思う。
11月
慢性期外傷性脳損傷患者の評価指標の比較をExpert Review of Neurotherapeutics 誌に発表とIR。
2020年9月に、慢性期脳梗塞のMCID(”最低どれだけ改善値を示せたらいいよ”っていう最小値)を設定することで、未達だったはずの治験の良好な結果を梗塞量を限って見れば示せた。この時、確かストップ高2連だったか。
この最小値の慢性期外傷性脳損傷バージョンを専門誌で発表したことのIR。これからは外傷性脳損傷による運動機能障害を正確に測れることになり、つまり、より正確に臨床試験の結果が示せることになり、このことによりTBI国際P3が磐石になると考えられるし、既存FMMSで有効性を示すことができたTBI P2の結果が、一層芳しいものとして再提示できるかもしれないという期待が持てる。待ち侘びられる申請についても、PMDAも満額納得の申請受理につながる。
さらに、11月16日には、ポートフォリをの一つである「MSC2」が米国に本社を置く再生医療企業 D&P Bioinnovations, Inc.と、食道再生インプラントの開発及び商業化に関する業務提携契約したというIRが突如でた。埋もれていたパイプラインが前進することはいいことだが、如何せんまだフェーズ1前なので、ああだこうだと考えるのは次期早々。
12月
決算短信の中に組み込まれたこの一文「SB623慢性期外傷性脳損傷プログラムは、現在、この『先駆け総合評価相談』のフェーズにいます。」に歓喜した株主は多いはず。また、全米外傷性脳損傷レジストリ協会(National TBI Registry Coalition、以下「NTRC」)設立のIR。さらには、新規コミットメントラインのお相手は、「りそな銀行」。(3大メガバンクとはお付き合いがあるが、そこに、新規に銀行業界6位の大手りそな銀行も加わってきた。)
翌日ストップ高1回。先駆け総合評価相談と全米協会と、どちらのIRに市場はより強く反応したのかは分からないが、全米協会IRは、米国という巨大市場に関わることなので、奥が深いIRだと思う。今後の動きを注視したい。
こう振り返ると、目立つ動きというよりは、水面下での動きを愚直に進めてきた感がある。
華がある1年ではなかったが、どれも未来での飛躍には欠かせないことである。まさに「待」の一文字。申請を待って待って待って、の一年だった。先駆け総合評価相談のフェーズにいると明かされた今、2022の早い時期には、無事に申請となるだろう。そして、その半年後には承認。そう思うと、やっと2022こそサンバイオにとって新たなスタートの年になる。想定よりも、数年遅れているが、あとで振り返れば2021は「待てば海路の日和あり」「急がば回れ」の時期であったと思いたい。
現在日本企業の中で世界の時価総額トップ50にいるのは、40位にいるTOYOTAしかいない。そこに食い込める可能性があるのは、既存企業ではなく、サンバイオのような世界的なイノベーションを起こせるベンチャー企業しかないと思っている。日本を牽引する世界的企業が日本には必要。世界に名を馳せる新規事業の創成をぜひサンバイオに。これからのサンバイオには期待大。期待しかない。がんばれサンバイオ!!