一度リスクオフしたサンバイオ株を買い戻すことにした。それは、1月頭の2つのサンバイオIR(Neurology誌での発表及びモルガンカンファレンスでのプレゼン予定)を見たからではない。1月5日に第一三共のDS-1647(G47Δ)(がん治療)が申請をしたからだ。この申請ニュースは、正直自分にとって相当インパクト大だった。第一三共は、複数のパイプラインで先駆け指定を受けているも、「再生医療等製品」で受けているのはこのDS-1647だけ。しかも、SB623と同じく「先駆け審査指定制度」&「希少疾病用再生医療等製品指定」を受けている。この2つの指定を受けている再生医療等製品はSB623とDS-1647とつい先日上市されたノバルティスファーマのゾルゲンスマの3品だけだと思う。そう言う意味で、DS-1647の動行はとても気になっていた。DS-1647は遅延を重ねており、申請ができないのなら、SB623もきっと無理で、両方お蔵入りするのかもしれない・・・と年末に再生医療等製品特有の難しさを慮っていた。それが、1月5日に申請IRの吉報だった。
DS-1647は以下のような経緯を踏んだ。
2009年~14年東大の藤堂教授が臨床研究を実施し、安全性を確認
2015年フェーズ2医師主導治験を開始
2016年2月先駆け審査指定制度の対象品目に指定(第一三共と藤堂教授が共同申請)
2016年7月初めて決算報告でDS1647について触れられる。
2017年7月希少疾病用再生医療等製品指定
2019年4月解析結果を決算説明会で取り上げ、19年度上期に日本での承認申請を表明
2019年10月製造委託先であるデンカ生研においての商業的規模での製造体制が確立できていないことを理由に下半期での申請へと1回目の遅延を表明。
2020年4月20年度上半期の申請へと2回目の遅延を表明。
2020年10月20年度下半期の申請へと3回目の遅延を表明。
2020年12月無事申請(年末12月28日申請でIRは年明け1月5日に発)
このように3度の申請遅延を表明して無事申請に漕ぎ着けた。申請に慣れた大手でもこう言う遅延が起こる。申請を初めて行うサンバイオは申請へのタイムラインに載せながらも遅延の表明になってしまっているが、よく健闘していると感じる。
この経緯を見るとサンバイオと似ているなと思う点が2つある。
①製造体制の確立を課題に上げていた点。デンカ生研IRによると、「G47∆ はウイルスそのものを製剤化するため、 その商用生産には、大規模なウイルス製造方法や試験方法の確立が必要となっており、それには特別な技術と経験が必要となる」。「試験方法の確立」や「特別な技術と経験」こう言った言葉をSB623でもよく耳にする。
②パイプラインの豊富さからと言う理由もあろうが、申請遅延の詳細は申請まで語られなかったし、IRに確認を入れても「課題の具体的な内容については、
DS-1647は、
2016年2月先駆け審査指定
2017年7月希少疾病用再生医療等製品指定
2020年12月承認申請
SB623は、
2019年4月先駆け審査指定
2020年6月希少疾病用再生医療等製品指定
2021年承認申請(※筆者の期待を込めた予想)
タイムスパンについても気になってゾルゲンスマについても調べてみた。
ゾルゲンスマは、
2018年3月先駆け審査指定制度
2018年10月希少疾病用再生医療等製品指定
2020年3月承認申請
各種指定からたったの2年で申請に漕ぎ着けている。
サンバイオの2021申請は十分見込める。(というか見込めないと困るけど。)
「SB623」と「DS-1647」と「ゾルゲンスマ」を勝手に3兄弟とするなら、長男、次男は無事に申請。残るは末っ子のSB623だけになった!!12日火曜日のJ.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンスは、慢性期脳梗塞の追加解析結果を持って行くと思う。この追加解析結果に興味を示すメガファーマとか出てこないだろうか。2021の大型提携にも夢を寄せたい。
※メモ
DS-1647は、中間解析で有効性が確認され治験を早期停止。非無作為化で非盲検試験。症例数は30(13例で中間解析)。主要評価項目は1年生存割合。副次評価項目は全生存期間、無増悪生存期間(PFS)、腫瘍縮小効果、安全性。定位脳手術による腫瘍内投与、最大6回投与。