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つい、国内の狭い株式市場の視点でサンバイオを観ることに陥ってしまう自分がいる。1日のたった数十円の値動きで一喜一憂してみたり。狭い視点でサンバイオを見ても、建設的な発想が生まれない。埋もれがちになるが、サンバイオのやっていることは脳の再生という人類に光をもたらす大事業で、グローバルな視点で測り観ることも大事ではないか。そう思っている所、経済産業省が2017にまとめた「バイオベンチャーの現状と課題」と言う資料が面白かったので、サンバイオを視点にまとめてみることにした。
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/bio_venture/pdf/001_07_00.pdf


医薬品業界は、低分子化合物→バイオ医薬品へのパラダイムシフトが現在進行形で起こっている。研究開発投資の「量」が重要だった低分子化合物時代は、事業規模の大きいメガファーマが有利だった。しかし、現在主流になりつつあるバイオ医薬品時代は、研究開発投資の「効率」が重要で、小回りと自由の利くバイオベンチャーが開発主体になっている。これら創薬のパラダイムシフトにより、バイオベンチャーの存在感は増加中。アメリカでは、 2016年FDAの新規承認20個のうち、大手は5個に対して、ベンチャーは15個と言う差。 さらにオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)で見ると、非オーファンでは大手への導出が一般的でも、オーファンでは自社販売まで手掛けることが現実に可能であり、ベンチャーでも自販を目指す企業が主流になっている。 サンバイオもこれに当たる。米国では、2011年~2016年の5年間で見ると、オーファン104製品中、起源企業(発見者)がベンチャー66大手38。販売企業はベンチャー53、大手51とベンチャーが大手に勝る。ちなみに非オーファンでは大手が強い。サンバイオのSB623がオーファン指定を受けていて、やはりこれから開花していく可能性を秘めている。なかなか一直線に成功に進めず、もどかしさがあるのも、このパラダイムシフトの真最中であることに起因すると言って過言ではないだろう。国内初の自販までできる再生医療のパイオニアになろうと今もがいている最中で、1月末までの承認申請ができたとしたら、ついにこれが叶う。

米国では、成功モデルの1つとしてオーファンドラッグを契機としたバイオベンチャーの成長事例が増加している。(以下スライド)  
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スライドにあるように、対象患者を絞ることでリスクを軽減しつつ、バイオベンチャーならではの機動力を強みにオーファンドラッグの開発・販売を行うことで成功した企業が多数存在する 。特にサンバイオに対してよく引き合いに出される以下のギリアドは好事例だと言える。SB623が国内オーファンTBI適応を皮切りに、対象疾患を拡大し、ギリアドのように波に乗っていくことを期待したい。 
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話は変わるが、「オーファン指定(希少疾病用再生医療等製品)」さらに「先駆け審査指定再生医療等製品」の両方が適用されているのは、ノバルティスファーマのゾルゲンスマ(承認済み)とサンバイオのSB623だけになる。ゾルゲンスマは薬価1億6707万7222円というびっくり価格で、特定の患者様を救えると言う点では光しか見えないが、普及や採算性と言う目で見れば未来が明るいとは言えない。サンバイオは、グローバルな普及と採算性を併せ持って成長できる素地を持っており、日本版ギリアドになることを夢見たい。

「バイオベンチャー」と一言で言っても、経産相がまとめているように、
「シーズ発掘プラットフォーム」であるペプチドリームやナノキャリア
「自社品があるシーズベンチャー」であるタカラバイオやラクオリア、アンジェス

「導入品を用いてのシーズベンチャー」であるそーせいやジーエヌアイ、メディシノバ

「再生医療」のサンバイオやヘリオス

「がん免疫」のテラやメディネット

とグルーピングされる。冒頭述べたように、医薬品業界はパラダイムシフトの現在進行形で、日本の創薬型バイオベンチャー30社の中から、ギリアドやバイオジェンのような存在がそろそろ出てきてもおかしくない。「オーファン指定(希少疾病用再生医療等製品)」さらに「先駆け審査指定再生医療等製品」そして、米国RMAT指定を受けているサンバイオは有望株の筆頭ではないか。SB623の国内上市は、グローバルローンチへの足掛かりになり、飛躍的発展への第一歩になる。

サンバイオが有望だと言えるエビデンスには以下のものがある。 

○TBIでは、FMMSのベースラインからの改善量は、SB623投与群で8.7点に対し、偽手術群では2.4点。(組み入れ患者61名)

○慢性期脳梗塞では、梗塞巣サイズが一定量未満の患者77名(組み入れ患者163名の47%)を対象に、複合FMMSエンドポイントで、偽手術群26名のうち19%の改善に対し、SB623投与群51名のうち49%に改善が見られ、統計学的に有意な結果(P=0.02)。

TBI、脳梗塞共に、薬効は示されている。株式市場はTBIが成功、脳梗塞が失敗と言う2019の情報からアップデートできていないと思う。2020現在正しくは、TBI成功、脳梗塞追加解析によって統計学的優位差ありだ。

経産省の資料は、バイオベンチャーを取り巻く投資の話もよくまとまっており面白い。米国のバイオベンチャーをみると、上場後の安定かつ柔軟な資金調達が成長を加速している 。アメリカは、機関投資家を主とする継続的な支援により、 赤字期間でも一社平均400億円を調達している。 ショッキングなことに、上場後バイオベンチャーの時価総額を比較すると、日本は米欧のみならずアジア諸国にも劣る。

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ではなぜ日本の機関投資家は日本のバイオベンチャーに投資できないのか、次の表がよくまとまっている。
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バイデン新大統領誕生ニュースからの安心感もあって、日経平均は本日29年ぶりの高値24839円。コロナ禍も日本の公的マネーに日本株は支えられている現状であるが、公的マネーがどれほどバイオベンチャーに流れ込んでいるのか。。。そーせいの株主さんたちが、東一鞍替えを心待ちにしているのもよく分かる。個人で株式に投資せず預貯金に走る国民風土と合わせて、日本と言う国の投資環境は改善せねばならぬと問題意識を持つ。(自分が専業になれた暁には、この改善も尽力したいことの一つ。)グローバル視点で見ると、サンバイオを取り巻く投資環境は決して良いものではない。申請への疑心暗鬼からここまで株価が低迷するのは日本市場故の現象ではないか。だから、多少の株価の変動に心を動かしてはならない。先述のエビデンスとオーファン獲得の実績から、未来の可能性に着目すれば、とても期待が持てる会社だ。 

自分のこのブログも、無駄か?先鋭的か?承認申請の可否によって評価は別れていくと思う。ともあれ、グローバルな視点でサンバイオを見れば、サンバイオの明るい成功の道に一点の陰り無し。遅くとも12月14日(と思われる)の決算には全てが分かることと思う。がんばれサンバイオ !

※個人のサンバイオ応援ブログです。買い推奨するものではありません。