大日本住友製薬の決算が発表された。SB623開発断念の発表の懸念もあったようだが(自分には全くなかったが。)、無事にそういうことはなかった。売り上げの42%を占めるラツーダの特許がもうすぐ切れることがよく引き合いに出される大日本住友だが、確かに決算短信を見ていると、ポストラツーダが見つかるかどうかは、この会社の命運を握るであろう印象を受ける。自分がサンバイオを応援しているからバイアスがかかっていると自覚するけれど、SB623の慢性期脳梗塞適応開発成功は、大日本住友も、是が非でも成し遂げたいんじゃないかと思う。 というか、自分が大日本住友の経営陣だったら、フェーズ2が成功しているTBI適応もむしろ喉から手が出るほど欲しいんじゃないかと思う。いずれにせよ、大日本は4月の中経で、「SB623のセカンダリーエンドポイントは’非常にたくさん’置いている。」と述べているので、開発断念などの後退ではなく、何かしらの進展・発展は、これからあるだろうと思う。
4月にあった欧州医薬品庁より先端医療医薬品(ATMP)の指定を受けたIR以来、北米でのTBI適応フェーズ3飛ばしというウルトラ夢のようなことができるアメリカ迅速承認RMAT指定及びブレークスルーセラピー(BT)指定を自分は期待しているが、(この制度については、日経バイオテクのこのサイトの説明がわかりやすい。https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/btomail/17/05/25/00218/)そんな中、今日textream上でBBbridgeというメルマガの2015/4/30の記事を以下の通り引用された興味深い投稿を見かけた。
「実際にRocheの担当者は2013年11月にBTの制度の下で初めて承認されたGazyva(糖鎖改変を行った第二世代の抗CD20抗体)の経験を基に、BT制度を用いた承認取得の実情について講演していました。ちなみにGazyvaはBT指定から承認取得までわずか6か月間しかかかっていません。BT制度を活用した早期承認取得のカギはプロセス開発です。特にバイオ医薬品の場合は製造プロセス開発に時間がかかるため、製造プロセスの開発を如何に迅速・正確に終了できるかが重要です。例えば通常フェーズIII試験完了までに行っていた製造プロセス開発をフェーズII終了までに全て完了させなければならないというものです。BTを活用する際にはプロセス開発に強いバイオCMOとの協業も有効です。」
だとするなら、5月の「欧米市場での SB623 の販売需要を見越し、SB623(外傷性脳損傷用途を含みますが、これに限りません。)の量産化能力の向上及び安定供給体制を確保するための製造委託企業の複線化を図る」とされている非常に短期間で70億円集めた急ぎ足の増資は、製造プロセスを構築して、このアメリカBT指定を取りに行くためではとの想像もできる。やや闇に包まれているこの増資の訳もそろそろ明らかになってくるだろう。
TBIの国内申請がそろそろ期待される頃だけれど(自分的には年内は十分待てる。年内が無理で来年に持ち越されたら流石に残念だけれど。)それと同じぐらいこの1月末までに始めるとされているTBIグローバルフェーズ3についてのパートナシップ提携発表なども非常に楽しみ。(まさか、欧亜米の全てを自社で行くとは考えられないから。)
如何せん、1月29日の魔のIRからもう半年。慢性期脳梗塞にしろ外傷性脳損傷にしろ、SB623が熱くなってきた。色々な進捗が出てくる今後半年は、本当に楽しみでしかない。